森と子どもとアーティスト エピソード2

さて、天草でのお話から数日後、牟田さんから連絡がきた。翌年1月に森の中でワークショップをさせてもらえることになった。しかも自然学校の先生の岩熊さんと。なんて縁だろう。外でのワークショップも初めてだし、自然とアートという切り口でワークショップを構成するのも初めてだったけれど良い予感しかしなかったので即こちらからも参加をお願いすることにした。

私は天草から帰って地元の山に足を運んだ。太宰府には何度も行ったことがあるのに森の中には入ったことがなかったのでこちらの山とどんなふうに違うのかなといろいろ想像してみたり。山に行くとほんとに季節によって、日によって目につくものが違うのがおもしろい。岩熊さんから現場となる太宰府市民の森の資料を頂いたり、自然学校のお話からアイディアを頂いたりしながら少しずつ方向性を決めて行った。

幸い一月初旬に太宰府に行くことだできたので場所の下見もできた。下見どころかまほろば自然学校の散策に同行させてもらった。コースは思っていたよりも整備されて歩き易いところなのだけど、岩熊さんも子ども達もコースからどんどんはみ出ていって積極的に薮の中に入っていってはいろんな発見をしてくる。岩熊さんは虫の領域が専門。その時期しか見つけることができない虫、その生体をお題として提示して子ども達に探させる。
目的のものをみつけてる間に思いもよらぬものが見つかったりしておもしろい。小さいアリがぎっしりつまった朽ち木、冬イチゴ、イタチのフン、冬眠中のハサミムシ(?)。
市民の森のコースの先には広場が大中小と広場が3つあるキャンプ場があった。なんとなくそこにきたとき、自分が小学生だったときのある記憶がふわっとでてきた。友達と広場で枯れ葉を集めて山にしたりして遊んだときのこと。上にねっころがったり葉っぱの中に埋まったり。その遊びしたの一日だけだったんだけどすごく記憶に残っていた。ワークショップの材料はぼんやりとしか考えていなかったのだけどそのとき、『あ、材料は森から集めてくればいいんだ』と決めてしまった。森でするのだから思いつきそうなことなのに開催2週間前にやっと気がついた。